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ソーシャルメディア時代のビジネスモデル「FREEex」

Posted on 2011-07-14

オタキングこと岡田斗司夫さんが、
「FREEex」というビジネスモデルを発案したことは
ご存知でしょうか。

私は、このビジネスモデルが生んだ書籍
評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている
を実際に購入しています。

何が通常のビジネスモデルと違うかと言えば、
著者が印税をもらわないということです。
もちろん、チャリティーでもないです。

印税は、書籍の価格の7〜10%が目安とされており、
1000円の本であれば、70〜100円が著者に支払われます。

しかし、このビジネスモデルの場合では、
著者は印税をもらわずに、出版社の利益に上積みされます。
出版社にとっては、これほどうれしい話はありません。

堀江貴文氏の著作
0311再起動 君たちに東日本大震災後の世界を託す
の中で、このビジネスモデルの具体的な仕組みが
詳しく解説されていました。

「FREEex」の意味は、「あるものを無料にすることによって、広く浸透させていく集団運営法」とあります。語源は、FREE(無料)とex(拡張)を合わせた造語です。

岡田斗司夫さんは、
「オタギングex」という会社を立ち上げ、
300名の社員を雇っているそうです。
300名というと結構規模が大きい会社という印象があります。
年商50〜100億ぐらいなのかなと想像するところです。

しかし、給料を一切払っていないそうです。
逆に、社員が給料を岡田さんに払っています。
1ヶ月に1万円ずつ払い、
300人の合計で300万円の月収があります。
そして、年間で3600万円の収入が岡田さんにはあります。

社員の上限は、300名と決めているそうです。
そして、社員は社長の仕事を
無償で手伝うこともできるようです。
もちろん、手伝いたくなければしなくていいそうです。

一般的な会社とは、お金の流れがまったく逆になります。
会社というか、会員になるや月額サービスに入るのと
感覚が近いかもしれません。
また、株を年間12万円分払うのに似ていますね。
厳密には違いますが。

そして、そのお金を原資に、
岡田さんは活動し、印税をうけとらないそうです。

実は、「宝塚歌劇団」も「FREEex」と似た仕組みだと、
堀江貴文氏が紹介していて、驚きました。

取引先として、利幅が大きいなどメリットがあるので、
繰り返し仕事を続けたいと、
信頼関係を結べることが考えられます。

しかし、著名人か優れた魅力やビジネスプランを持つ人でないと
このビジネスモデルは成り立たないでしょう。

だけど、この手法は、
IT起業家がシリコンバレーで資金を集めるように、
起業家が資金調達においてユーモアのある方法として
解釈はすることはできます。

そして、いままでにない関係、
強い上下関係でもない緩い関係が
今後どうなるのかも興味深いです。

そして、ソーシャルメディアが発展して、
つながること、信頼すること、
ファンになる、応援するという行動が
より明確に意識することができるようになったからこそ、
「FREEex」は成り立つようになると思います。

寄付や助成金で成り立つNPOは、たくさん存在します。
社会や市民とどういった関係の中で、
信頼と支援が成り立つのかを考えれば、
「FREEex」は、自然と理解できると思います。

そして、欲求のコントロールも、隠れたテーマだと思います。
このモデルの中では、
3600万円以上の利益をあげることはできません。
利益をあげる方法は、
仕事の手を抜き、コストを押さえることです。
もちろん、そんなことをすれば、
このモデルは崩壊するでしょう。
信頼を裏切ることになるからです。

日本は、数年前に
GDPが2位にして幸福度指数は90位という統計を出しました。

お金がないと生きてはいけませんが、
お金が一定以上を超えても、
幸せも持続して比例するわけではありません。

お金では買いにくいもの、例えば「信頼」を得ることが、
高度経済成長を過ぎ、不況という閉塞感の中で、
ポスト日本を解決することに関係しているでしょう。

「FREEex」が、岡田さんのように有名で実績がなくても、
アイデアと行動力があれば、
若者にも実行できる社会であることが、根本的に必要でしょう。

FREEexについて

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