アート
Chim↑Pom『REAL TIMES』展 @スタンダードブックストア心斎橋B1F
彼らには、賞賛と批判があります。
彼らの社会的な行為に関していえば、
非常に希少なことをしました。
希少なこととは
・岡本太郎の「明日の神話」にゲリラ的パフォーマンスをする
・原発付近で創作活動を行った
・放射能汚染物質を輸送し、展示を行った
特に、原発をテーマにした岡本太郎作品への加筆的創作は、
メディアの注目を浴びることとなりました。
原発をテーマにした国内での美術活動では、
最も注目を浴びた行為になったでしょう。
注目を浴びることは、活躍するためには、
非常に重要な要素であることは認めます。
しかし、同時に大きな批判もおきました。
記憶に残るのは、岡本太郎記念館の館長さんの言葉です。
「ゲリラ的な瞬間芸として、明らかにアートの文脈で行われた行為です。ただ、作品としては斬新さも感じないし、ほめるつもりもありませんが」
今回の展示を通した私の感想は、
この館長の考えに賛成ですね。
会場には、立体作品、平面作品、ドミュメントビデオが
展示されていました。
マスコミに何度も報道された「壊滅した町の光景」には
まだ衝撃がありました。
ガイガーカウンターが0.2ミリシーベルトを指す
放射能汚染物質で構成されたオブジェが
私の目の前にあるという事実が
マスメディアからも感じれない衝撃がありました。
しかし、放射線は、人間の五感には感じられないんでよね。
そのガイガーカウンターが表示する数値が、
心理的に不安を与えています。
その瓦礫の光景や放射線という事実と芸術表現は、
比較にはなりません。
芸術なんてどうでもいいいと思うほどに、
その事実の方が衝撃的です。
そして、その事実の前に、チンポムの作品は霞むわけですが、
そこには、それさえも内包した強度のある計画というものは
残念ながら、私には見えませんでした。
ある友人は、「悪のりの展示を見てしまった」という感想を述べていましたが、
たしかに、そうとも読み取れました。
洗練された思考がそこにあるとは、
思えなかったことも確かです。
表現としては、非常に稚拙とも思えました。
注目を集めたその先に、さらにすごいものを期待してしまう。
そういった意味でも、期待はずれだったのかもしれません。
唯一、彼らからの衝撃だったのは、
瓦礫のまっただ中で、円陣を組んで、
さまざまな欲望を叫び合っているビデオ作品です。
『気合い100連発』というタイトルだと思いますが、
「放射能最高〜!」という感じで叫んでいるのが印象的でした。
一緒に行った友人も、そこは鳥肌がたったと言っていました。
私の受け止め方としては、
ソーシャルメディアにおける芸術家の言動と比較してみると、
全く正反対なことをしていて、これも希少なことだと思います。
被災者を挑発するような内容ですが、
芸術家の原発反対には、私が安易さも感じているからです。
みんなが言っていることなんで、
何も考えなくても同じことつまり反対なんて言えてしまうし、
ソーシャルメディアを使えば、簡単に広がってしまいます。
芸術家が、原発反対!ということに、
どれだけの意味があるのかと感じています。
なぜなら、いま、求められているのは、
反対か賛成かという二者択一の結果ではなく、
そのプロセスではないかと思うからです。
この作品を通じて、
芸術家が、原発に対して賛成か反対をいう発言の問題について
考えさせられてしまいました。
Chim↑Pomの行動には、かなり問題はあると思いますが、
芸術家の存在意義を考え直すには、良い対象だと思います。
そして、社会に対して、
希少性のある行動と注目を仕掛けていくのも
彼らの方法だということは、忘れてはいけません。
そして、見習わなければいけないのかもしれません。
Chim↑Pomのwebにあるプロフィールには、
「現代社会に全力で介入した社会的メッセージの強い作品で評価を得」という紹介文がありました。
もしかすると、
原発や放射能に対して、
なんとも思っていない可能性はあります。
つまり、Chim↑Pomの創作活動に方程式があるなら、
社会的メッセージであれば、
何でも変数Xに代入できるかもしれません。
原発はどうすればいいのか?というより、
社会問題と社会とChim↑Pomの関係が、
作家性が最も発揮される構図だと仮定できます。
社会問題を入れる変数Xは、なんでもいい。
そして、批判が集まれば、
方程式の乗数が増加するだけなのかもしれません。
つまり、批判さえも彼らの活動を
手助けしている可能性はあります。
深読みすぎるのかもしれませんが、
恐ろしさをもつアーティスト集団だと思います。
Youtube
展覧会予告PV
【大阪】Chim↑Pom「 REAL TIMES 」2011/6/20-27【心斎橋】
賞賛の意見(Chim↑Pom未発表の時期に収録・放送されました)
【山田五郎】明日の神話へのイタズラはイカす! 平成23年5月5日
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