アート, 日記

IAMAS2013に行ってわかったこと。

Posted on 2013-03-09

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「個人」から「組織」の展覧会へ
学生も教員も同じ土俵で評価される
iamas全体の活動を理解しやすくなった
教員の差も見えてくる

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iamasの卒業制作展「iamas2013」に行ってきました。僕は、iamas2006から毎年この卒展を見ています。通算8回、連続8回見ているということになりますね。学生が運営をしていることもあり、その年の特色が出るため楽しみな恒例行事でもあります。

今年は、アカデミーが無くなって初めての卒業制作展ということもあり、どういう内容になるのかは気になっていました。つまり、50名・50作品近い展示があったのが、半分になってしまうと、寂しい展示になってしまうのではないかと、単純に不安になっていました。

しかし、その不安は簡単に吹き飛びました。アカデミーが無くなった分、プロジェクトの展示が会場の半分を占めていました。それは結果的に、1年生や教員も展示に参加しているることになり、iamasの全員が参加する可能性があるということですね。また、卒業生の活動や作品紹介のブースも設けられていました。

従来の卒業制作展は、その年の学生つまり「個人」やその世代の雰囲気を感じ取れるものでしたが、今年はiamasやプロジェクトという「組織」の枠組みを僕は意識しました。iamasの活動全体が見えるという意味で、とてもわかりやすいです。外部の方にとって、iamasを理解しやすくなりますね。

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ついに見れた赤松先生のプロジェクト「ウロボロスのトーチ」。すごいクオリティのARです。

学生にとっては、iamasの卒展は特別なものです。2年生のほとんどの時間を費やした制作や研究の成果を発表する場です。時間と労力の結晶が、たった4日間しか展示されないというのもあり、みんな真剣です。ただ、学生の中には、成功する者も失敗する者もいて、それはその人自身で受け止めて次につなげていくしかありません。だから、学生の作ったものがうまくいかなかったとしても、ある程度来場者は教育的な視点で受け止めないといけない部分もあると思います。

しかし、今回の卒展は、全員参加型になっています。つまり、学生も先輩後輩、教員も関係なく、出展者として参加しています。来場者にとっては、作品の善し悪しを評価しても、それが学生だから教員だから、立場で許されるようなバイアスをかけることはないでしょう。当然、卒業制作の作品は学生にとって最後の発表なのでしっかり見てあげてほしいと個人的には思います。

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これもやっと実物が見れた3Dプリンタ。印刷のプリンター同様、いやそれ以上に本体が揺れます。大丈夫なのかな。。。

僕が展覧会初日に行ったのがよくなかったのかもしれませんが、教員の作品でも調整中がありました。卒業生の僕にとって、正直学生には厳しい指導をしていた教員が「調整中」というのはとても格好が悪く映ってしまいます。もちろん、審査と展示は別物です。さらに、指導する先生という立場が、批判されにくいというのにも、クリエイターとしての寂しさを感じてしまいました。批判や意見によって、洗練される面もあるはずですからね。

気になった点をまとめると、
(1)学生と教員のモチベーションや作品に費やしている時間・労力の違いが見える
(2)教員のプロジェクトマネジメント、プレゼンテーション力が求められる
(3)教員間の差も大きい。頻繁にアプトプットしている先生の作品は洗練されている

結論として、僕の目には教員が目立ってしまいます。学生としての「個人」ではなくて、プロジェクトリーダーとしての「組織」の権限を持っているので、影響力が大きいのも、理由のひとつです。学生や教員は関係なく、じっくりと時間と労力をかけ、展示や発表を重ねてきた作品や研究は、プレゼンテーションやシステムも安定していました。毎日動いているものが故障して調整中なら理解できますが、4日間の展示で「調整中」というのはただの準備不足ですからね。教員は、プロジェクトのマネジメントを行い、学生とチームを組んで制作や発表を重ねていきますが、プロジェクトの進捗やクオリティから明確に能力差が見えてきてしまいます。

iamas2013では、iamas全体を把握できるようになり、卒展の新しい活用方法や方向性が見えてきて、今後に期待できると思いました。しかし、学生だけではなく、教員やプロジェクトの成果の差も見えやすくなってきてしまったと思います。卒展のあり方、目標・達成の設定について考え、コンセンサスをとるべきだと思いました。来年も期待しているので、楽しみにしています。

メディア・アート創世記ー科学と芸術の出会い

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